前回はLibreOffice Writer で LaTex のコマンドを使って数式を文字や記号として正確に表現できる事について書いた。同じような事が OpenOffice でも可能だ。また、Webseite や Blog でも数式を文字や記号として正確に表現できる。
それまではどうしても LibreOffice などで数式を正確に表現したければ画像として埋め込んで文章のように見せかけていたから、数式の扱いが非常に楽になった。では一体 Tex や LaTex とはどんなソフトウェアなんだろうか。
Tex, LaTex とは?
Tex (テックまたはテヒと読む。)とは1977年にDonald Knuth氏が開発した組版ソフトウェアである。 Tex を使って書かれたテキストは、本来書きたい文章と文章の構造を示す命令文(コマンド)が混在している。これが組版結果になる。この組版結果(テキストファイル)をDVI形式*のファイルに出力することによって文書が出来上がる。また、Tex では新しいコマンドを定義することも出来る。そして複数のコマンドを集めてパッケージとしてまとめて使用することも出来る。(参考:1)
この機能を使って論文やレポートを書きやすくするためのパッケージを Tex に組み込んで機能を拡張したのが LaTex (ラテックまたはラテヒと読む。)である。 LatTexは1980年代初頭にLeslie Lamportによって開発された。 (参考:2)
DVI形式:pdf, txt, odt などのようなファイルフォーマットの一つで、文書のレイアウトを画像形式・表示デバイス・プリンタにまったく依存しない形で記録している。内容はバイナリーデータであるため、それを読むには別途DVIビューアと総称されるプログラムが必要になる。DVIビューアにはYAP, xdvi, windvi, Evince, KDVI, Okular, dviout, dviwin, DView などがある。(参考:7、8)
Tex(LaTex も含む) の組版作成の自由度、作成した組版の完成度は共に高く、商用としても通用する。現在では理工系の出版社での組版、理工系の論文作成、研究誌への投稿フォーマットとして使用されている。(参考:2、3)
Tex を使うなら Tex Live
Tex は単体だけではファイルを生成できない。上記のとおり,Tex は組版に特化したソフトウェアであるから,Tex を使って書いた文章を作成したり,印刷させるにはまた別のソフトウェアが必要になる。
そこで、Tex を使ってファイルを作るのに必要なソフトウェアをパックのように一つにまとめた Tex-ディストゥリビュージョンと呼ばれるものがいくつかある。そのようなTex-ディストゥリビュージョンの一つが Tex Live で、Tex と関係するプログラムやライブラリ,フォントなどを含んだ大規模な Tex-System として機能する。
多くの Linux系OSでは Tex Live を Tex のための標準パッケージとして採用している。Ubuntu もそのような Linux系OSの一つである。(参照:4、5、6)
Tex Live のインストール
Ubuntu 12.04 の場合
Ubuntu 12.04 でインストールされる Tex Live のバージョンではUTF-8 のファイルを扱えない。
この問題を解決しながら Tex Live をインストールする方法は tlptexlive for TeX Live 2012 に詳しく書かれている。
Ubuntu 12.10 の場合
パッケージマネージャ、端末またはソフトウェアセンターなどから2つのパッケージ
texlive-lang-cjk
xdvik-ja
をインストールする。端末からインストールする場合は
$ sudo apt-get install texlive-lang-cjk
$ sudo apt-get install xdvik-ja
これでインストールは終わり。日本語対応も問題ない。(参考:9)
Tex の使い方
以下の4行が書かれた文書を作成して hello という名前で保存するとしよう。
こんにちは
Hello
Hallo
Bonjour
LibreOffice Writer を使えば、上の文章を打ち込んで hello.odt という名前で保存すればよい。テキストエディターを使えば同様に上の文章を打ち込んで hello.txt という名前で保存すればよい。
これを Tex を使って上の4行が書かれた文書を作成して hello という名前で保存するには
1. テキストエディターなどを使って以下のように打ち込んで hello.tex という名前で保存する。
\documentclass{jarticle} \begin{document}こんにちは
Hello
Hallo
Bonjour
\end{document}
2. 端末を起動して hello.tex を保存してあるフォルダーに移動して
$ platex hello
と
、
($マーク以降を)入力する。これでエラーがでなければ hello.dvi というファイルが出来る。中身は
こんにちは
Hello
Hallo
Bonjour
となっているはず。 このファイルは Tex をインストールしていないと読めないので,
3. 続いて端末から
$ dvipdfmx hello
と
、($マーク以降を)入力する。これで hello.pdf というファイルが出来る。中身は同じく
こんにちは
Hello
Hallo
Bonjour
となっているはず。(参考:11、 Tex入門/最初の例)
この様に Tex を使って文書を書こうとすると、 LibreOffice Writer や、テキストエディターを使って書くより手間がかかる。しかし、
- 文書形式や図表を取り込んだレイアウトをを自在に変化させられる。
- 長い文書の校正がしやすい。
- 数式も自在に記述出来る。
というメリットがある。
詳しい説明やエラー処理などについては
Tex入門/最初の例
が参考になる。一通り勉強するなら Tex入門、
LaTex
などが参考になる。 また、Tex入門は TexWiki の一部で、この TexWiki には Tex に関する膨大な資料がある。参考
1. http://ja.wikipedia.org/wiki/TeX
2. http://ja.wikipedia.org/wiki/LaTeX
3. http://de.wikipedia.org/wiki/TeX
4. http://ja.wikipedia.org/wiki/TeX_Live
5. http://en.wikipedia.org/wiki/TeX_Live
6. http://de.wikipedia.org/wiki/TeX_Live
7. http://ja.wikipedia.org/wiki/DVI_(ファイルフォーマット)
8. http://en.wikipedia.org/wiki/Device_independent_file_format
9. http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?TeX%20Live#r64bfbe1
10. Tex入門
11. pLaTex始めの一歩(2012)
12. LaTex
1
3
. TeXを使って数式をきれいに書こう
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